高額で大掛かりな脂肪吸引手術。そのための受診を決意し、美容外科の門を叩くみなさんの心中は、半分は期待、もう半分は不安といったところでしょうか。
不安といえば、やはり何と言っても「もし失敗したら…?」ですよね。ならばどんな失敗があり、それを防ぐにはどうすれば良いかを具体的に知ることが大切です。それによって不安が解消でき、より建設的な気持ちで手術に臨めるようになるからです。
そこで今回は、脂肪吸引手術の「失敗」にフォーカスした情報をお届けします。
脂肪吸引手術で起こり得る失敗
失敗①脂肪吸引後に凸凹ができる
施術直後の回復反応として、術部に凸凹を生じることはあります。ただ、3ヵ月以上たっても収まらない場合は失敗と考えて差し支えないでしょう。脂肪の取りムラがあったり、必要以上に脂肪を吸引してしまったりした場合に生じます。
明らかに脂肪吸引のムラが原因です。特にピンク色の線で囲まれた部位は取り残しです。このように凸凹になり水着になれないと困って御来院される方がいます。
失敗②バランスが不自然
ボディデザインを無視した脂肪吸引手術を行ったときに生じる失敗です。脂肪吸引は、根こそぎ脂肪を取り除けば良いというものではありません。仕上がり像をイメージし、残すべき脂肪は残すという判断も必要になります。
症例1
肋骨下縁の部位は皮下脂肪の下に骨がある・なしで段差が生じているため凸凹になりやすい部位です。
またお臍周囲は取り残しやすい部位です。意識して吸引しないこのようになります。
症例2
お臍周囲の取り残しととり過ぎの部位があり凸凹になっています。
失敗③脂肪吸引後に皮膚がたるむ
皮膚に近い浅い層の脂肪だけを取りすぎたり、雑な吸引で組織を傷つけてしまったりすることに起因します。また、肌質や脂肪の付き方といった個人差を考慮しない脂肪吸引も原因の一つです。
症例1
肋骨下縁の段差の部位は気を付けないといけない部位です。吸引する部位に肋骨(硬い組織)があるかないかで脂肪の吸引量に差が出ます。またカニューレの先をしっかり意識して吸引しないと浅い層に入ったり吸引する層にムラが出ます。結果として凸凹になってしまいます。それとこのゲストは内臓脂肪が張り出しています。少しの脂肪吸引と腹筋を鍛えていただくと下腹部は綺麗なラインとなります。
症例2
脂肪吸引のムラがあり吸引され過ぎている部位とあまり吸引されていない部位があります。また術後圧迫の仕方・姿勢により生じたものと考えられます。吸引後は姿勢をよくし変な皺が出来ないようにする事を気を付けることも重要です。
失敗④脂肪吸引後にお尻が垂れる
お尻の立体感は、太ももの付け根の脂肪が支えています。この箇所の脂肪を取りすぎると、お尻が垂れてしまいます。例え太ももは細くなったとしても、これでは施術を受けた意味がありませんよね。脂肪吸引手術では、施術部位だけでなく体全体のバランスを総合的に見極める必要があるのです。
この症例の原因は①明らかに吸引してはいけない部位を吸引してしまっていること②治療法は脂肪吸引だけではなかった。の2つがあげられます。
施術を受ける前の状態は見ていませんが、皮膚切除が適応だったのではないでしょうか?またお尻の土台となる部位を吸引されてしまっているので更に下垂してしまったと思われます。
失敗⑤脂肪吸引後に色素沈着した
色素沈着は、脂肪吸引後の回復過程で認められる一般的な症状ですが、まれに固定化してしまうことがあります。
原因の1つは、脂肪の取りすぎによって皮膚と筋肉が癒着し、血流が悪化したこと。もう1つは、術後の圧迫固定によって皮膚がかぶれ、水ぶくれを生じて皮膚を傷つけたことによります。肌の明るさを保つためには、適度に脂肪を残しておくことも大切なのです。
部分的に吸引するカニューレが浅く入ってしまい、皮膚の浅い部位が局所的に吸引されて血流が悪くなり色素沈着をきたしていると思われます。この場合他の部位より脂肪を採取しCRF・マイクロCRFを注入することで血流が回復します。
失敗⑥引きつれ感がある
施術患部の皮膚が、ひきつったような状態になります。見た目の汚さもさることながら、腕や脚など関節のある部位だと動かしづらくて不自由します。原因は脂肪の取りすぎです。脂肪を根こそぎ吸引してしまうのは、かえってよくないのです。
失敗⑦脂肪吸引の効果を実感できない
脂肪吸引手術を受けたのに、期待ほど効果が得られなかったというパターンです。この原因は単なる脂肪の取り残しということの他に、認識のずれが考えられます。
そもそも脂肪吸引術で吸引できるのは皮下脂肪のみで、内臓脂肪は吸引できません。そうした認識がないと、期待したほど脂肪が取れていないという印象を持ってしまいます。皮下脂肪は、力を入れたときにつかめる脂肪ですのでご注意ください。
脂肪吸引手術が失敗する原因は?
当たり前のことではありますが、失敗には原因があります。失敗を回避するには、その原因を把握しておくことが重要です。ここでは、脂肪吸引手術が失敗に終わる原因について解説いたします。
失敗原因①医師のデザイン力がない
脂肪吸引は、とにかく根こそぎ脂肪を取り除けば良いというものではありません。美しく仕上げるためには、あえて残した方が良い脂肪もあるのです。また、どこからどの程度脂肪を吸引するべきか(あるいは残すべきか)のちょうど良い塩梅は、もともとの体型によっても異なります。これを見極めるため、施術前にはマーキングという作業を行います。絵画や彫刻のデッサンのようなものです。医師には、このためのデザイン力が求められます。デザイン力がないと良いデッサンができません。デッサンがまずければ、当然仕上がりにも悪影響を与えます。
失敗原因②医師の脂肪吸引技術と知識が足りない
良いデザインができ、脂肪のどこを残し、どこを取り除くべきかをしっかりイメージできていたとしても、それを表現する腕がなければ形になりません。つまり医師には、脂肪吸引の機器を意のままに操ることができる技術力が求められるのです。
また、皮下には脂肪以外にも線維や血管がありますが、こうした人体の構造を熟知していることも重要です。これらに関する十分な知識があれば、他の組織へのダメージを最小限に抑えることができます。
失敗原因③脂肪吸引手術前のカウンセリングが不十分
カウンセリングは、医師とゲストが施術内容・仕上がりイメージを共有するための大変重要な機会で、施術を成功させるうえで欠かせないプロセスです。このとき、医師側は施術の限界についても触れなければなりません。例えば、ゲストが吸引を希望する箇所にそもそも皮下脂肪がないなら、そのことを予め伝えるべきです。術後、ゲストの皆さんが“細さを実感できない”と不満をお感じになるケースの何割かには、こうした基本的な事実を前もって知らされていないコミュニケーションの不手際が背景にあると考えられます。
失敗原因④脂肪吸引手術後のケアが不適切
脂肪吸引手術では、術後のアフターケアもまた、結果の成否を左右する大きなポイントです。医師やクリニックの指示を守っていただけないと、施術の完成度が落ちてしまうことがあるのでご注意ください。
脂肪吸引手術後の圧迫固定をさぼった
圧迫固定を怠ると、老廃物が溜まってリンパ管が停滞し、むくみを生じます。むくみが残ると、せっかくの痩身効果も実感することができません。
脂肪吸引手術後の圧迫固定がズレた
圧迫固定がズレていると、皮膚がかぶれてしまい水ぶくれを生じます。水ぶくれは、破れて悪化すると色素沈着を引き起こします。
脂肪吸引手術の失敗を防ぐために注意すべきことは?
脂肪吸引手術の失敗には原因があることが分かったなら、あとはそれを回避するまでです。以下にその具体的な方策をご紹介します。
脂肪吸引手術の症例写真を見る
ゲストのみなさんが医師の本当の技量を見極めるのは難しいでしょう。手っ取り早い方法は過去の症例写真を見ることです。症例写真の中に、あなたが直感的に「キレイ」「こうなりたい」と感じるものがあるかどうかは、一つの判断材料になると思います。
納得いくまで、徹底的にカウンセリングを受ける
手術中は麻酔で眠った状態です。ですから、意にそぐわない施術でも、途中で止めることができません。その意味で、術前のカウンセリングは施術の方向性を決定づける最後の砦。少しでも気になることや納得のできないことは、徹底的に確認しておきましょう。これに難色を示すようであれば、ゲストファーストの精神に欠ける医師だと言わざるを得ません。このような医師への施術の依頼は考え直した方が良いと思います。
納得したら、医師やクリニックの指示に従う
脂肪吸引は、美容施術の中でも体への負担が大きい部類に入ります。そのため地道なアフターケアが不可欠です。医師やクリニックからは、これに関する事細かな指示があるはずですが、どれも意味があるものなので、しっかり守ってください。すべては美しく仕上げるためなのです。
諸事情のために対応が難しい場合は、予めクリニックと相談されることをおすすめします。
まとめ
脂肪吸引手術で想定される失敗について、理解を深めていただけたでしょうか?脂肪吸引の修正手術は非常に難しく、どこのクリニックでも対応できるものではありません。ですから、ここに示した回避策を参考に、できるだけ未然に防ぐように努めていただければ幸いです。
とはいえ、失敗のリスクをゼロにすることは不可能ですし、そうした方々の受け皿は必要です。そのため当クリニックでは、他の美容外科の失敗修正も積極的に受け入れています。初めて脂肪吸引をやってみようとお考えの方はもちろん、過去に脂肪吸引を受けたものの失敗してしまったとお悩みの方も、是非一度、お気軽にご相談ください。