ポピュラーになりつつある脂肪注入豊胸。シリコンバッグやヒアルロン酸を用いた豊胸術との大きな違いは、なんと言っても見た目や触感が本物のバストと同様、自然な仕上がりになることでしょう。今回は、豊胸手術の中でも当院で最も人気のある脂肪注入豊胸について解説していきたいと思います。
脂肪注入豊胸の基本
まずは気になる傷跡やダウンタイムになどの基本情報についてお伝えします。
脂肪注入豊胸の手術方法・時間
まず、注入に必要な脂肪を自身のお腹や太ももなどから採取。不純物を取り除くなどのプロセスを経た後、バストに注入します。脂肪の加工方法によっても異なりますが、手術時間は約2時間程。術中、当院では静脈麻酔を使用し、 眠った状態で行うので手術中に痛みを感じることはありません。
脂肪注入豊胸の傷跡
注射器を使って脂肪を注入するため、バストに傷跡が残ることはありません。また、脂肪採取部位においても、半切開部分は約5㎜程度とごくわずか。当院ではシワに隠れる部分を切開するなどの配慮も行うため、目立った傷跡が残る心配はないと考えていいでしょう。
脂肪注入豊胸の術後の経過
脂肪の注入カ所、採取カ所共に内出血はありますが1〜2週間程で気にならなくなります。注入部位であるバストの痛みはほとんどありませんが、採取カ所は筋肉痛のような痛みが1週間程続きます。
注入する脂肪を加工する理由
採取した脂肪には含まれているのは良質な脂肪細胞だけではありません。そこには死活細胞や老廃物など、脂肪壊死やしこりの原因となる不要物質も混合しているのです。一昔前は採取後そのままバストに注入する方法がとられていましたが、近年行われる脂肪注入豊胸では、採取後に不要物の分離・排除を行い良質な脂肪のみを注入する安全な豊胸手術が普及してきました。このプロセスの違いによって、定着率やバストアップ効果が変わってくるのです。
余談ですが、加工することで良質な脂肪細胞とともに脂肪幹細胞が抽出されます。その脂肪幹細胞がバストアップに大変重要な役割をしていることがわかってきました。
脂肪注入豊胸の種類
クリニックによって採用している脂肪注入豊胸の種類は異なりますが、メジャーな方法としては、ピュアグラフト豊胸、セリューション豊胸、コンデンスリッチ豊胸の3つです。当院ではピュアグラフトとコンデンスリッチ豊胸の2つを採用しています。
これら3つの違いや効果などを触れて行きたいと思います。
ピュアグラフト豊胸
ピュアグラフト豊胸の加工方法
ピュアグラフト豊胸では、専用フィルターを用いて不純物と脂肪に分離します。採取した脂肪を完全に密閉した状態で、洗浄液を入れクリーンな脂肪にします。洗浄液や血液、麻酔液などの不純物を含んだ脂肪を専用フィルターにかけることで、注入に必要な脂肪と不要な不純物に分離するのです。フィルターは編み目状でできているため、水気の多い不純物だけを通す仕組みになっており、密閉袋につながっているチューブから自動的に廃棄されていきます。この分離作業を3度繰り返すことで、しこりのリスクを抑えたクリアな状態の脂肪にします。
ピュアグラフト豊胸のメリット
ピュアグラフト豊胸の洗浄・分離作業にかかる時間は最短で約15分。他の脂肪注入豊胸でのプロセスと比較するとやや短時間で行えます。そのため、長時間にわたる施術を回避できるため、体への負担が軽減できます。
ピュアグラフト豊胸のデメリット
注入素材に微量の洗浄液も混ざっているため、脂肪の密度が下がります。そのため、定着率の目安は50〜60%と考えられます。
セリューション豊胸
セリューション豊胸の加工方法
まず採取した脂肪を老廃物の除去用と幹細胞の抽出用の2つに分けます。老廃物の除去では死活細胞や老廃物などを取り除き、幹細胞の抽出では幹細胞のみを抽出し濃縮します。その後異物を除去した脂肪と濃縮された幹細胞を組み合わせることで質の高い脂肪が出来上がります。
セリューション豊胸のメリット
セリューション豊胸の一番の特徴は幹細胞の密度が高い点です。脂肪注入豊胸では注入した脂肪を定着させるために、血流が不可欠。幹細胞には血管の生成を促す働きがあるため、高い定着率が期待できます。
セリューション豊胸のデメリット
セリューションのデメリットとしては(一般的には)コラゲナーゼという酵素を使用します。この酵素は「異物」となります。しかしTHE CLINICはコラゲナーゼを使用しないでセリューションと同様なシステムがございます。また、通常注入する脂肪とは別に、脂肪間細胞を抽出する脂肪が必要になるため、採取できる脂肪が少ない痩せ型の方には不向きと考えられます。しかし、皮下脂肪が多いがバストサイズが小さい方は良い適応となります。
コンデンスリッチ豊胸
コンデンスリッチ豊胸の加工方法
コンデンスリッチ豊胸が他の2つと大きく違うのは、脂肪細胞にあえて負荷を与えることで、衰えた老化細胞を破壊し、除去している点。コンデンスリッチ豊胸以外で行う分離方法では、老化細胞は残ったままになっていますが、これは、定着しない壊れやすい細胞なのです。若く質のいい脂肪細胞だけを注入することでしこりの回避はもちろん、定着率のアップにも繋がります。
具体的な方法としては、外気に触れないまま遠心分離にかけ、特許を取得しているウェイトフィルターでしこりの原因になる死活・老化細胞や細胞膜などの不純物を除去します。ウェイトフィルターを装着し遠心分離をかけることにより、通常よりも約25倍のG(圧力)がかかり、老いた弱い脂肪細胞を排泄オイルにすることができるのです。さらに、排泄オイルになった液体と残ったコンデンスリッチファット(CRF)をしっかり分離させます。
コンデンスリッチ豊胸のメリット
採取した脂肪から良質な脂肪細胞だけを残し、濃縮しているため、脂肪と幹細胞両方の密度を高めることができます。採取した脂肪を無駄にすることがないので、痩せ型でも可能な脂肪注入豊胸です。
コンデンスリッチ豊胸のデメリット
コンデンスリッチ豊胸にはニセモノが出回っていることが報告されています。コンデンスリッチファットを抽出するLipoKitはFDAに承認されている唯一のシステム。そして、特許も成立しています。導入している施設には認証マークが与えられているので、必ずマークを確認することをおすすめします。
脂肪注入豊胸で失敗しないポイント
脂肪注入豊胸の失敗と言えば、豊胸後にしこりができてしまったり、注入した脂肪がほとんど残らなかったなどの定着率に関するもの。ここで気をつけて頂きたいのは、単に良質な脂肪を用いれば安全で確実なバストアップができる訳ではないということです。
注入脂肪の質と同様に重要なのは注入方法と注入量。その2つについて解説していきます。
脂肪注入豊胸で失敗しないポイント①:注入方法
脂肪が定着するには血液から栄養をもらうことが不可欠です。一塊で脂肪を注入した場合、血流の行き届かない脂肪が壊死し、しこりのリスクが高まります。
そのため、注入可能なあらゆる層にヌードル状に注入するような注入方法で行う必要があります。これが、しこりのリスク回避と定着率を高めるポイントのひとつです。
脂肪注入豊胸で失敗しないポイント②:注入量
バストの内圧が高まることも血管が圧迫され血流を阻害するため、限られたスペースに大量注入することは厳禁です。脂肪が栄養をもらえないことで脂肪壊死やしこりに繋がります。
また、注入量としては最大で片胸200〜250cc程度。実は、これ以上多く注入してもその多くが吸収され残らないことが分かっています。
脂肪注入についてよくある質問
痩せ型の人は脂肪注入豊胸ができない?
たしかに、脂肪採取の必要があるため、極端な痩せ型の方は不向きでしょう。しかし、脂肪採取の高度な技術を持っているかどうかによっても可能な範囲は変わってきます。実際に当クリニックではBMI 13といったかなり痩せ型の方のコンデンスリッチ豊胸も行っています。必ずしもできないという訳ではありませんので、お気軽にご相談下さい。
バストの皮膚の伸びがいい人が向いていると聞くけど実際は?
バストの内圧が低い(スペースに余裕がある)ほど、脂肪注入豊胸の効果が得られやすいと考えていいでしょう。なので、授乳後やシリコンバッグを抜去したバストにはより適しています。
皮膚の余裕がない痩せ型の方は、皮膚組織を伸ばすブラバを使用することでこの内圧を下げることができます。またブラバをすることで組織内の血管新生が促進され移植後の生着率を向上させます。
しこりや石灰化になる事がある?
先にもお伝えしたように、注入する脂肪の質、注入方法、注入量によってはしこりや石灰化の可能性は否定できません。実際に当クリニックでは、他院の脂肪注入豊胸後にできたしこりのご相談も多数寄せられています。しかし、しこりの回避方法や技術を熟知しているドクターであれば、しこりや石灰化といったリスはまずないと考えていいでしょう。
採取部位がデコボコになる事がある?
他院で受けた脂肪吸引部位を修正してほしいとのご依頼も多数寄せられています。実際に診察をすると、取りムラはもちろん、取り過ぎによってたるみや不自然さを生じているケースも少なくありません。本来は採取部位も体型に合わせたデザイン後に丁寧に行うべきところを、より多く取ることだけを考えて吸引してしまうとそのような結果を招いてしまいます。
脂肪注入豊胸をする際は、注入技術だけでなく脂肪吸引の経験も豊富なドクターを選ぶことをおすすめします。
定着するまでの期間はどのくらい?定着率を上げるためできることはある?
移植脂肪が安定してくるのは2か月~3か月です。その間は定着率を下げるようなことはしないことが重要です。例えば、移植した脂肪を安定させるために注入当初は激しい運動は避ることべきです。特に大胸筋内にも脂肪は注入していますので激しい筋肉トレーニングはやめてください。移植脂肪は圧迫され生着を悪くします。また移植脂肪が安定するまでの期間にダイエットは避けてください。移植した脂肪は敏感に反応し生着を悪くします。 基本的に移植した細胞が生着するためにはまずは血管新生が必要です。その後安定した血流が必要です。血流を低下させますので喫煙は避けてください。また移植前にブラバをしていた方は移植後もブラバをして頂いた方が生着率が上がります。
まとめ
今回は、脂肪注入豊胸の特徴や種類、失敗回避のポイントをお伝えしました。大切なことは脂肪を用いれば、必ずしも自然なバストアップができる訳でないということです。どの脂肪注入豊胸を選択するかはもちろん、ドクター選びが最も重要になってくるでしょう。
当院が一番ベストと考える脂肪注入豊胸は、現段階で最も良質であるコンデンスリッチファットを用いた豊胸術です。もちろん、これまでの経験からしこり回避の方法や技術においても熟知しております。脂肪注入豊胸にご興味ある方は、お気軽にご相談ください。